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事業報告・計画

2010年度

I.保険薬局をとりまく情勢

(1)医療をめぐる情勢の流れ
  1. 新自由主義政策としての「構造改革」 
    「国民生活第一」をスローガンに挙げて登場した民主党政権は、アメリカと財界の圧力に屈服し、今や「菅の小泉化」、「構造改革路線への回帰」(東京新聞)と言われるように自民・公明党政権時代と同様の悪政をすすめています。現政権の医療・社会福祉政策ですが、「自己責任」「市場化」が考え方の土台にあり、「新成長戦略」にもとづく混合診療や外国人富裕層を対象にした医療ビジネス(ツーリズム)など医療・介護を「儲け」の対象として積極的に進めようとしています。介護保険についても「保険料の値上げか、さもなければ給付の抑制」を利用者や介護者に迫り、国の責任を大幅に縮小させるという狙いが見え隠れしています。さらに、社会福祉の財源を「消費税」増税に求めるなど、国民生活を圧迫し国の公的責任が放棄されるようなことは絶対に行われるべきではありません。
  2. 貧困と格差の拡大
    雇用創出のために法人税の引き下げが必要とされましたが、こういった大企業や大資本家への税制面での優遇が過去最高の「内部留保」を生みました。それに対して国民生活は、失業率の高止まり、若年層の失業率は上がっています。また、国はアメリカ・財界からの強い要請にもとづき「TPP」(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加表明を行いました。TPPは貿易にかかわる関税などを自由化し、貿易関係の規制を取り除こうとするものです。最大の農作物輸出国アメリカから農作物が関税なしで輸入されるようなことがあれば、日本の農業は破滅してしまうといわれています。しかも、TPPは農業分野のみならず、医療・介護分野においても自由化価格の医療市場の拡大、海外からの医薬品・医療材料・海外資本の参入を許すことにつながりかねません。 世界の先進国では、医療費無料が当たり前である中、民間保険が主流のアメリカのように「自己責任」にもとづく医療費負担と社会保障費の抑制を推し進めれば、医療や介護の分野においても、貧困と格差の拡大につながっていきます。
  3. 東日本大震災
    あの日本中を震撼とさせた東日本大震災から早くも2カ月以上が経ちました。大震災・大津波・原発事故という私たちが過去に経験したことのない大災害は未曾有の被害をもたらしました。
    この震災によって、日本社会の様々な矛盾点や問題点が顕在化したといわれます。第一は、超高齢化社会の真ん中で起こった点です。阪神淡路大震災の神戸の高齢化率は15?16%、今、岩手三陸地域では30%を超えています。高齢者の避難が困難であったことが容易に想像できますし、また、命の助かった方の介護施設入所にしても、日本の特養待機者が42万人を超えて存在する問題が大きな壁となりました。第二に、すでにあった医療崩壊の上に震災が起こったという問題です。医療支援は迅速に大規模に入ることができたものの、いったん入った支援が引き上げることができない状態になっているということです。東北地方の絶対的医師不足の問題が顕在化しました。第三に、原発安全神話が根拠のないものであった点です。利益優先の原発推進が取り返しのつかない被害を世界にもたらしつつあります。
    昨年、民主党はマニフェストで、日本のエネルギー政策として、「50%を原子力に頼る」ことを打ち出していました。今や「原発安全神話」は完全に崩れ去りました。国は日本のエネルギー政策の抜本的な転換と、避難生活を余儀なくされた人たちへの生活保障、そして、とりわけ計り知れない影響を受けた第一次産業に対する保障もしなければなりません。
    今、国のなすべきことは、大企業や大資本家を優遇することや、アメリカ追随ではありません。「いのちの尊さ」や「被災者の生活保障の支え」を基本に据えるべきではないでしょうか。「日本」という国の在り方が今問われています。
(2)医薬品を取り巻く情勢
  1. 医薬品を取り巻く情勢
    日本の医療費(対GDP比)は、OECD諸国(経済協力開発機構、30カ国)の中で第22位(8.1%)と必ずしも先進国では上位ではありません。その我が国における医療費に占める医薬品費は、欧米に比べて極めて突出しているという事実があります。医療費に占める医薬品費の割合は、OECD平均で17.7%、アメリカで11.9%、イギリスで11.8%、日本は20.1%です。2年毎の薬価改定で薬価が引き下げられても医療費の伸びをはるかに超える薬剤費の伸びがあります。また、発売後10年以内の薬品費が全体の半分を占めます。(2008年度では実に5兆円)そういった結果、製薬企業は製造業の中でも類を見ない高利益構造の業種となっており、製薬企業の経常利益は、この経済不況の中でも常に20%台をキープしています。
     また、現在の薬価制度は、製薬企業は政策的に保護されたものになっています。「ドラック・ラグ」の解消や画期的な新薬の創出を促すためとされた「類似薬効比較方式」や「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(後発医薬品メーカーが要求した「薬価維持特例」)は、後発医薬品が出るまで一切の価格交渉を進める余地がなくなりさらなる高薬価構造に拍車がかかります。
  2. ファーマウェーブの取組み
    「安全で安心の薬を!患者負担を軽減し、薬剤師の力が発揮できる医療制度確立を!」をテーマに、全日本民医連は、「ファーマウェーブ」を提案します。一つには、我が国の医薬品問題を広く国民や患者の中に明らかにし、国民医療費を圧迫している高薬価構造を是正させ、そこから生まれる財源を患者負担軽減と診療報酬に充てることを提案しています。二つ目には、後発医薬品の使用促進が政策化されましたが、実際には先発医薬品との適応症の違いや「新薬シフト」の現状があり、遅々として進んでいません。これを改善させることです。そして、三つ目は、出来高払いから包括払いへの移行など、病院や老健施設側の経済的理由により、必要な薬品の服薬の妨げとなっている事実があります。薬剤師職能として出来得ること、それは薬剤師による真の「代替調剤」の確立が課題として提案されています。これらの運動のカギは薬剤師自身の行動です。
  3. 医科法人等の事業計画と保健会の公益社団法人化
    市内病院構造転換事業は、「"法人は一つ"の立場で、限られた人材・財力を集中させ、質の向上を図るとともに、他の医療機関・介護事業所と連携しながら、ブロック毎ではなく、市内の法人全体で、切れ目のない医療と介護を提供する」方向で、計画を進め、法人の管理運営機構の見直しも検討を重ねています。
    2008年12月施行の公益法人制度改革により、京都保健会は2013年11月30日までに、公益社団法人か一般社団法人かのいずれかの新法人への移行をしなければならず、保健会の行っている事業の性格上「公益社団法人」へ、2011年4月1日に移行しました。京都府内でも、全日本民医連でも公益法人認定は京都保健会が第一号です。京都保健会が認定されたことは、総合的な医療・介護事業を担う法人が「公益」を認められた大きな実績であり、また55年の公益に寄与してきた保健会の公益性が社会的に認められたことを意味します。
    同時に、差額ベッド料を一切徴収せず、無料低額診療事業を発展させることは、公益性の拡大とともに、民医連の掲げる『いのちの平等』をさらに前進させる実践」(臨時社員総会報告2009.12.5)であり、市内病院構造転換事業計画の意義は「保健会の使命実現・公益性を貫く」ことにあるとされています。

II.薬局活動の計画

(1)医療の質の向上

医療安全を担うことは大きな薬剤師職能の一つです。医療安全・医療整備委員会で報告される調剤過誤・ヒヤリハットから教訓を各薬局で共有し、また、医療整備事項も各薬局で認識が一致するように図ってきました。今年度は、全日本民医連からの「保険薬局医療整備自主点検表2010年度版」の点検、京都府薬剤師会の「指摘事項のまとめ」について検討していく予定です。また、職員に対する医療安全教育研修も企画しています。
さらに、各薬局とも機器更新・施設拡大を計画中ですが、医療安全に関わる整備としての視点で充実を目指します。また、民医連薬局でも「ISO9001認証の取得」が進んできています。今期、「ISO9001認証の取得」を視野に入れて、他県連、他法人の見学・交流を進めます。
東日本大震災を教訓に、災害に強いシステム環境を構築する必要があり、太陽光発電機の設置についても検討します。

(2)在宅医療の展開

今後ますます在宅療養が増える中、在宅医療の展開は重要な課題に位置付けられます。病院でいう病室が患者宅であり、病院は地域全体に当たり、私たちの活動フィールドは、地域全体です。終末期を在宅で迎える患者さんへの対応や、在宅医療の広域化、中央エリアの福祉施設展開への対応など、切れ目のない質の高い薬物療養の提供に努めます。

(3)医療機関、共同組織との連携

今日の格差社会において、受けられる医療にも格差が生まれています。「命の平等」を貫き、医療機関や共同組織とあらゆる連携を通して、医療の公益性を高めていきます。民医連の誕生は地域の医療要求からであり、共同組織の人々とともに歩んだ歴史があります。ともに医療・介護を考える仲間として、薬局職員も共同組織の一員として諸活動に取り組みます。
また、医療機関が出す院外処方せんを受け、仕事をしている私たち保険薬局は、医療機関との連携なくして業務が成り立ちません。各薬局から役責会議、管理委員会等のライン及び薬事委員会、教育研修、医療チーム等への参加や京都保健会及び中央病院薬剤課との定期協議をすすめていきます。患者・利用者との信頼関係を強め、安心して住み続けられるまちづくりを進める、共同組織の活動にも積極的に参加しましょう。

(5)社会保障の拡充と患者の受療権を守る取組み

医科法人で認められている「無料低額診療事業」は、保険薬局では認められていません。しかし、高知市で初めて、今年4月から市が患者さんの薬の自己負担分を支払うことになりました。高知県で唯一の「無料低額診療事業」を行っている潮江診療所でも、院外処方の薬代が免除とならないことへの苦悩がありました。潮江診療所では、行政へ事例報告や医療と貧困の実態を発信し続けてきました。(本来は国の制度として実施されるべきところではありますが、)診療所の地道な活動が、患者さんにとって薬代の心配がなくなる画期的な高知市の措置に繋がったと思います。
窓口負担は、保険薬局では主には薬代です。国の推し進める医療費削減目的とは違い、民医連は患者さんの負担軽減を目的として、後発医薬品の使用を促進してきました。会計窓口でも患者さんの医療費相談に乗るなど、患者さんの困窮状況に敏感でなければなりません。薬剤師として、「薬代」を切り口に未収患者さんの相談活動や中断チェックの活動に取り組み、困難事例等を民医連外へ発信し、「いのちの平等」「医療を受ける権利」を守る運動に取り組みます。また、「無料低額診療事業」の実施を行政に働きかけ、実現をめざします。

(6)医療再編に伴う保険薬局の役割

2011年5月から中央ブロックの「総合ケアステーション」開設、8月社福法人の小規模特別養護老人ホーム・認知症グループホーム「都和の花」の開設、さらに中央病院の秋の400床化など、コスモス薬局を取り巻くエリアでの医療編成が大きく進化しようとしています。中央エリアの医療・介護体制の進化に伴い、コスモス薬局に求められる役割や機能の検討が必要です。今後、求められる必要な対応について、薬局内での論議や当該法人との協議を予定しています。
また、上京病院の中央病院への病棟移転、新上京診療所の開設が今年秋に予定されており、仁和診療所のファミリークリニックが昨年開設されました。花ぐるま薬局となごみ薬局の人員体制、支援問題、常勤・非常勤のバランスなどの検討と業務内容の検討が必要です。また、吉祥院病院は在宅後方支援病院としてのリニューアルも検討されており、訪問看護・介護のセンター化が行われ、在宅医療へのシフトが進められています。あゆみ薬局は、地域の在宅医療を支える薬局としての役割を強化します。

(7)後継者育成
  1. 育てる薬学生対策
    「育てる学生対策」という考えは、薬剤師においては最近位置づけられました。育てる薬学生対策とは、長期的視点で高校生の時代から6年間の薬学部経験を経て就職するまで、民医連との関わりや相互交流・学習を積み重ね、民医連医療を担う人材を育成することです。民医連医学対、看学対と連携して、また独自に高校生薬剤師体験、医ゼミ、実習、交流会などを取組みます。今年度は、OSCEの模擬体験や奨学生の学習交流、第2回薬学生交流会の開催等を行います。
  2. 薬局における職場づくり
    職員にとって職場は、労働の場である同時に自己実現の場であり、社会人として成長し、医療観を深め技術を習得する場です。職員が成長でき、働きがいのある職場づくりをめざします。ここでは、職場役職者と管理部の役割が重要です。
    人が育つ上で大切なのは、?考える力をつけること、?職場内の信頼関係、?さまざまな体験の機会、?成長の実感、フィードバックです。また、教育研修委員会の役割として、今後、重要なのは、職場教育の経験交流、目標面接の集約、役職者の研修企画です。薬局の教育活動において、???が作っていけるように、法人として四半期に一度は、「教育活動と集団の成長」を議題に上げ討議するようにします。
    病院研修(中央病院薬剤課)は、2011年は3月から1名(あゆみ薬局)、4月から1名(花ぐるま薬局)が、それぞれ3カ月間の研修に入りました。今期は、秋に中央病院の病棟開設が行われるため、来年以降の病院研修及び病院薬剤師の保険薬局研修について、この間の研修の教訓を生かして、来年以降も行えるように中央病院と協議を進めます。
(8)東日本大震災支援活動

全日本民医連はいち早く医療支援、医薬品や生活物資の提供、募金の呼びかけを行いました。
全日本民医連(保険薬局委員会)の要請に応えて薬剤師6名、京都民医連のチームで事務1名が、合計延36日間、宮城民医連つばさ薬局の業務支援と周辺の避難所における医療活動に参加しました。また、患者さん・職員の協力で、物資(約140万円分)や募金(約250万円)を、全日本民医連を通して現地に届けました。支援行動は、支援者を送り出す薬局スタッフの協力があってできたことです。タペストリーなどにメッセージを込めて届け、被災地の状況を患者さんに伝え、薬学生に呼びかけ、支援行動報告会(4/23)を開き、労組とも協力し、職員が心一つに取組んできました。
今日、重要なのは、被災者が生活基盤を回復し自力で再出発できるように、憲法の生存権に照らして公的支援を行うこと、復興は国・財界のプランの押し付けではなく、住民自治・住民合意のもとで進めることです。また、一刻も早く福島原子力発電所の危機収束と放射能汚染の調査を行わなければなりません。原発依存のエネルギー政策の見直しも必要です。   
時間の経過と共に支援の形は変わりますが、引き続き被災地・被災者が必要とする支援活動に取り組みましょう。

III.経営方針

(1)非営利一般法人について
  1. 検討状況
    2010年5月の総括会議では、非営利一般社団法人への移行について調査、研究を進めることを確認しました。法人組織の合併、持株会社、社団法人化等は、あくまで組織再編の手段であって目的ではなく、どういう法人をつくるかが大切です。今日薬局法人は、○民主的所有と民主的運営の基盤をつくること、○非営利事業としての利益の考え方、○医科法人・医療機関との医療・運動・経営における連携が重要だという論議を進めてきました。
  2. 法人のあり方の論議の到達点をふまえて、株式会社から非営利一般社団法人への法人形態の移行について、その目的、非収益事業について提案します。
    1. 移行の目的の第一は、民主的所有の制度です。めざす民主的所有は、株主という特定の人が利益を所有或いは配分するのではなく、利益は法人が所有する制度です。法令遵守の上で行えるように、法人の制度とすることに意義があります。
    2. 目的の第二は、民主的運営体制の確立です。めざす民主的運営は、医療機関、共同組織、薬局の民主的関係、医科法人や医療機関、共同組織・患者が参加する、民医連らしい地域に根ざした法人と保険薬局の運営体制を確立することです。薬事・教育研修等の委員会、カンファレンスや医療チームに参加し連携を強めていくことが、チーム医療や薬局の総合的活動を進める上で不可欠です。
    3. 目的の第三は、公益事業の強化です。これらは営利法人にではできない、民医連ならではの活動であり、今日、貧困と格差の進行や医療労働の厳しさという社会情勢のもとで、様々な公益事業が必要とされています。保険薬局が得た利益は、医療機関、協同組合、共同組織・患者との「協同」によって生み出されたもので、地域社会に再投資すべきものです。利益の目的、使い方をしっかり方向づけるという意義があります。
    4. 非営利一般社団法人は、収益事業として薬局や介護事業の経営、非収益事業として、下記の事業を中心に 検討します。また、移行に向けた準備を進めるに当っては、顧問公認会計士・税理士と協議を進めると共に、医科法人、薬局法人等の協力を得て準備を進めていきます。
      1)薬や被害の相談、薬害訴訟支援等の活動
      2)医系学生への就学支援
      3)医療・介護職員が働くことへの支援
      4)無低診、地域住民の子育て支援や高齢者の住まいの運動等
(2)新たな事業

新たな保険薬局の開設については、シグマプランが対応するのは、原則として医科法人の病院・診療所ですが、保険薬局の開設が要請される場合に、積極的に応えられるように力を蓄積することが求められています。
また、地域住民の健康・生活を支援する活動、医系学生の就学支援等の事業、及び地域住民の子育て支援や高齢者の住まいの運動、福祉用具貸与等の介護事業については、医科法人や健康友の会と協力し、地域社会における法人の役割等を検討し、可能性を追求します。 

(3)2010年度決算、2011年度予算の特徴
  1. 2010年度決算
    1. 4薬局合計では、一昨年度と比較すると、処方せん枚数は、97.7%、レセプト件数は98.9%で、 コスモス薬局は、レセプト件数は101.2%に増加しています。経済・生活不安がすすむ中で、一昨年後期高齢者医療制度が導入により外来受診者数は減少し、この傾向は薬局にも反映しています。法人全体では、患者件数はわずかに減少し、受診抑制、処方の長期化によって処方せん枚数が減少しています。処方箋単価は高価格薬の採用等によって引き続き上がっています。

      処方箋枚数
      月平均 2008年度 2009年度 2010年度 10/08比
      あゆみ薬局 3,437 3,328 3,250 94.6
      コスモス薬局 8,264 8,320 8,238 99.7
      花ぐるま薬局 2,981 2,949 2,692 90.3
      なごみ薬局 964 927 1,101 114.2
      合計 15,647 15,525 15,282 97.7
      レセプト件数
      月平均 2008年度 2009年度 2010年度 10/08比
      あゆみ薬局 2,359 2,312 2,268 96.1
      コスモス薬局 5,834 5,853 5,902 101.2
      花ぐるま薬局 2,046 2,028 1,821 89.0
      なごみ薬局 631 615 760 120.4
      合計 10,870 10,808 10,751 98.9
    2. 2010年度予算は、収益、費用ともに前年実績を確保し、経営の安定・継続のラインとして、
      ●経常利益3.0%以上、
      ●調剤報酬改定を考慮して収益は前年比97%、
      ●人材比率84%以下
      を掲げました。
      2010年度の収支は、事業収益は18億3896万1千円(予算比105.4%、前年比101.7%)、事業費用は、16億9488万8千円(予算比102.5%、前年比103.5%)で、経常利益は、1億5217万9千円(構成比8.3%、予算比150.5%、前年比80.4%)、純利益は8,662万7千円に到達しました。人材比率は83.0%でした。薬局別の収支は、下表の通りです。経常利益は、全職員の努力と共に京医協、医療機関、共同組織との連携の中で、目標を超える利益を確保することができました。
      財務状況については、今期は、南区吉祥院、右京区太秦安井に土地・建物を取得し、調剤機器を含めた購入のために銀行から借入を行いましたので、固定資産、固定負債が増加しました。流動比率は259.6%、自己資本比率は58.6%です。 
  2. 2011年度予算
    2011年度予算については、今期は調剤報酬の改定はありませんので、昨年度と同じ規模の収益、費用、経常利益を基本とします。
    1. 利益目標は、経常利益131,028千円/年(収益比7.1%、前年比86.1%)を目標とします。
    2. 収益は、1,851,324千円/年(前年比100.7%)を目標とします。
    3. 費用は、材料費は、1,181,508千円/年(収益比63.8%、前年比101.7%)人件費は、374,256千円/月(収益比20.2%、前年比102.7%)、人材比率は84%以内とします。

2009年度

I.2009年度の活動と今後の課題

(1)医療の質の向上

医療安全・医療整備委員会を設置し、議論された調剤過誤報告から得る教訓を、薬局間で共有し、医療整備について薬局間で認識を一つにしていく努力がなされています。
医療の質の向上は、各薬局での取り組みは今まで以上に重要になっています。
地域医療の質の向上を図るために、服薬指導や薬歴管理の水準の向上、バイタルサインや検査値が読め、栄養相談にのれる薬剤師の育成も検討しています。

(2)在宅医療の展開

訪問服薬指導は、4薬局合算で月平均600回行いました。全体に共通する課題としては、終末期を在宅で迎える患者さんの増加や在宅医療の広域化などにより、緩和ケアや輸液の学習も必要であり、また、入退院時の医療機関との連携が今まで以上に求められます。
福祉医療連携に薬局も加わって、切れ目のない質の高い薬物療養の提供を目ざします。

(3)医療機関、共同組織との連携

在宅医療、外来カンファレンス、薬害学習、モニター制度等を、医療機関、共同組織と共に取り組みました。
医療機関や共同組織との連携は、医療と経営の質の向上、公益性を高める事へと繋がります。
保険薬局も地域の医療要求を的確につかみ、地域の人たちと共に医療を作るという位置付けで、懇談会、学習会を開催し、地域住民の意見や要望を薬局活動に反映できる仕組みを工夫します。

(4)薬害・副作用防止活動

薬害デー中央集会への参加、各薬局での宣伝行動、薬害シンポジウムなどを取り組みました。
「薬を服用する人の人権」を守るために、常に社会的視点を忘れずに薬を捉え、被害者救済、再発防止の活動を進めます。
全日本民医連の医薬品のリスク管理や副作用事例収集と新薬評価などに積極的に参加し、副作用被害救済制度の積極的活用を呼びかけます。薬剤師の職能として、未然に副作用を防ぎ、早期に発見できる力量を身に付け、薬学的管理及び指導の充実を図ります。

(5)社会保障の拡充と平和、患者さんの受療権を守る

患者さんの負担軽減を目的として、後発医薬品の使用を促進してきました。医療を受ける権利を守るために、未収患者さんの相談活動や中断チェックの活動に取り組みます。
子どもの医療費無料化を求める「あんしん署名」・核兵器廃絶を求める国際署名を行い、職員が原水爆禁止世界大会に参加しました。
社会福祉法にもとづく無料低額診療事業は、まだ保険薬局には認められていませんので、今後、行政機関に働きかけ、実現をめざします。

II.事業の概況

(1)経営活動の結果
  1. 2009年度収益は総額18億766万円でした。
    収益の内訳は以下の通りです。

    事業収益(単位千円)
    項目 2009年度 2008年度 2007年度
    技術収益 389,975 398,112 390,230
    薬剤料収益 1,369,019 1,226,223 1,201,953
    調剤収益計 1,758,994 1,624,335 1,592,183
    介護収益 35,604 25,275 24,900
    その他収益 13,062 11,169 11,012
    事業収益計 1,807,660 1,660,778 1,628,095
  2. 調剤は、2007年度と比較した場合、処方箋枚数は98.3%、請求件数は100.1%となり、処方箋枚数が減少しています。
    経済と生活生活の不安が拡大する中で、一昨年後期高齢者医療制度が導入され、医療機関の外来受診者の減少傾向は、薬局にも反映しています。

    調剤動向
    項目 2009年度 2008年度 2007年度
    処方箋枚数 186,295 187,761 189,479
    請求件数 129,696 130,442 129,626
    1日当り処方箋枚数 646 642 645
(2)2010年度事業計画

京都民医連第五次長期計画をふまえて、京都シグマプラン中期事業計画を検討し、医薬分業と新たな保険薬局の開設計画を積極的に進められるよう準備をします。
また、地域住民の健康・生活支援の事業、及び高齢者施設等の介護事業は、医科法人との事業分担と法人の役割をふまえ追求します。
以下の点を重視し、事業計画を進めます。

  1. 医科法人、社福法人との連携
    薬局法人は、医科法人からの経営的自立を追求してきましたが、今日、誰でも分け隔てない質の高い医療・介護が求められており、医科法人・社福法人との連携も必要になっています。医療活動における連携と共に、新たな事業や研修制度等における協力関係を発展させます。
  2. 地域の意見を取り入れる仕組み
    法人と薬局が非営利・協同を貫き、また、経営の透明性、健全性を高めるため、広く地域の人々の意見を聞く場を設ける必要があります。特に、共同組織(健康友の会等)との取り組みを重視し、薬局利用委員会などの仕組みを検討します。
  3. 非営利一般社団法人の検討
    非営利・協同や集団所有を貫く上で、株式会社形態には限界があります。株式会社に替わる法人形態として、非営利一般社団法人があります。めざすべき法人形態の一つとして、全国的には、模索と挑戦が進められており、法人としても調査、研究を進めます。
  4. 育てる薬学生対策
    今年から実務実習が始まり、2012年春に薬学6年制初めての卒業生が生まれます。民医連の医療を担う人材を育てるために、薬剤師を志す高校生や薬学生への支援を行います。また、共に医療を担う医学生、看護学生、薬学生が学べる機会をつくります。
  5. 薬剤師研修
    生涯研修として、自己研修、職場教育、集合研修の形態で、初期(1?3年目)、中堅(4年目以降)、役職者の3つの階層の研修を実施します。また、総合的力量を持った薬剤師を育成するために、病院・診療所研修や保険薬局研修も行います。
  6. 法人機能の強化
    法人本部には、取締役会、管理委員会等で構成され、事業計画、運営体制、医療整備、予算・決算、広報等を担当します。今期は、監査役、法人事務局等の体制を強化します。

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